関孫六と聞いて何を連想するでしょうか?
文学好きの私は三島由紀夫の愛刀・孫六兼元でした。この孫六兼元は不死身の分隊長で有名な船坂弘が三島由紀夫に贈ったものですが、これが昭和の一大事に至るとは誰が想像したことでしょう。
それはそれで、この歴史的名刀「孫六兼元」と量販店で売っている包丁シリーズ「関孫六」にはどのような関連があるのかというと、いずれも岐阜県関市に由来を持つ名刀であるということです。
その昔、岐阜県関市の一帯には日本刀を作る職人が多く集まっており、孫六兼元は関を代表するブランドとして、武田信玄、豊臣秀吉、前田利家など名だたる武将達から愛用されてきました。濃姫が孫六兼元の短刀を忍ばせて信長に嫁入りしたことでも有名です。
そして時は明治、大正に至り、同じく刀剣の聖地である岐阜県関市に後の貝印株式会社となる刃物製作所が設立されました。私たちが量販店で見る関孫六とは同社の包丁シリーズであり、刀鍛冶の信念「折れず曲がらず、よく切れる」をそのままに受け継いだ現代の名刀なわけです。
そんな歴史を知ると、この包丁シリーズ「関孫六」に愛着を抱かずにはいられないでしょう。
現在、国内トップシェアにある貝印株式会社ですが、その商品群は職人向けの「旬」と家庭向けの「関孫六」に大別されます。さらに上級モデルから廉価モデルまで価格帯も様々で、ある意味ピンキリにも思えるわけですが、ここから先の良し悪しは使い手の技量や相性による世界なのでしょう。
さしあたり、キャベツを切り、カツオを切るだけの私には最も手頃なオールステンレス三徳包丁が最適でした。現代の名刀を振るう喜びをぜひ味わってください。